人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス) | |
![]() | スティーブン・ピンカー 山下 篤子 NHK出版 2004-08-31 売り上げランキング : 20137 おすすめ平均 ![]() ![]() ![]() Amazonで詳しく見る |
生得的直観の話が面白かった。
数人の生物学者が、サイコパスが頻度依存淘汰によって進化した裏切り戦略の一つであることを例証している。統計分析で明らかになったところによれば、サイコパスは単に1,2の特性が通常の範囲を逸脱しているだけではなく、それとわかる一群の特性があり、そのために集団からはずれている。多数のサイコパスが生物学的なノイズによって生じる微妙な身体的異常を何も示さないことは、サイコパシーが必ずしも生物学的なミスではないことを示唆している。
生まれつき良心の薄い人間がいるという可能性は、高貴な野蛮人説とまっこうからぶつかる。そのような可能性は、生まれながらの犯罪者、悪い種といった時代遅れの考え方を想起させるため、20世紀の知識人によって消し去られ、悪いことをする者は貧困や生育環境の悪さの犠牲者であるという信念に置き換えられた。
サイコパスは知られている限り「治す」ことはできない。
コメント