そして殺人者は野に放たれる
日垣隆

新潮社 2003-12-17
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精神耗弱ということで減刑や不起訴になった人殺し、西島恭司、中山和男、■■■■、山口智、林田智之、大浜松三、林田等、福住修介、竹林純一、井上保幸、川俣軍司、丸山博文、小林楠男(仮名)、松崎庄人、元木恒、川上大治郎、古家博子、加美ルミ子、加藤竜太郎、池田春夫、佐藤宣行、上部康明、宅間守、林野敏明、の悪行やその裁判、彼等の「支援者」を語る本。
もっともこの著者の人は、Amazonで自画自賛レビューしたり議論の最中に他人の発言の改竄をしたり盗用したりする人物だった事がネットの普及でバレちゃったので、多分この本も、関係者が読むと嘘・大げさ・紛らわしいと怒るような記載がいっぱいあるんだろうなぁ。氏の著作はすべて怪しいと考えて良いだろう。
数値的な箇所は、精神障害者の総人口比が1%、殺人犯の中では8.5%、放火では15.7%と記載があるが、そいえば「精神障害者をどう裁くか (光文社新書)」にも、

 総人口に占める精神障害者の割合について正確なデータは存在していないが、平成十九年度版『障害者白書』(内閣府)によれば、精神障害者の総数は302万8000人になる。これは日本総人口の、約2.4%に相当している。
(略)
「殺人」(9.6%)、「放火」(15.2%)において、精神障害者等の比率は極めて高い。

とあり、大体一致してるので正確なのだと思う。被害者遺族や当時の裁判関係者の証言などは上記のような次第なので結構怪しげ
終始応報刑論一本槍なのは今時どうかと思うけど、論旨としては、刑法39条の存在と、日本には犯罪を犯した気違いを処遇する法務省管轄の施設が無い事を問題視していて、まぁそうだろうな、と思った。確かに刑務所に入れても気違いは治らないけど、かといって精神病院のお医者様に凶悪犯罪者を預けるのは心元無いし。読んでると「心神耗弱」は弁護に万能過ぎて(正気の沙汰と思えぬ凶悪犯罪を犯した→つまり正気ではなかったのだろう、心神耗弱だ)如何なものかと思うけど、何せ著者が信用できない人物なのでどこまで本当なのか
基本的に、新聞やTVの報道を見て怒ってるだけなので、本物の書いた「精神障害者をどう裁くか (光文社新書)」の方が色々説得力ある。やたら不起訴が多いのは「累犯障害者」でも問題視されてたな。なんかこう「起訴したら必ず有罪にしなければならぬ(=確実に有罪になりそうでなければ不起訴)」って職業意識が諸悪の根源な模様。
尚、本邦の識者憧れの理想郷・北欧において、ノルウェーでは1929年、スウェーデンでは1945年に「心神耗弱」規定は無くなったそうで。