大学の般教の教科書を念頭に書かれたっぽい本で14のトピックの短い話の集合。屠殺場とかハンセン氏病とかマジものに混じって、ヒッキーとか新卒採用慣行とかショボいのが同格に一章割かれてたり。
章毎に筆者が代わるが、全員、激しく構築主義…。…まぁ差別論はどうしてもそうなっちゃうかな。実際、部落差別とか正にそうだと思うし。しかし性別を4階層に分けて更にそれぞれグラデーションってのはさすがにやりすぎと思われ、「なぜ階段のみの設置が標準とされ、他の昇降手段が用意されてこなかったのか、そうした発想こそが問われるのである」とか。構築主義恐るべし。
構築主義故に結論がみんな社会の側をドラスティックに変えるべしになっちゃって、ヒッキー対策にまで「彼/彼女らをひきこもらせている社会を見直すことは、私たち自身の生き方を鍛えていく機会」とか言い出していや鍛えるべきはヒッキーだろ…と。
あと全体的に、露骨な差別は論外だがさくっと寛容を示されるのも何か釈然としない*1そうで、どうも要は「お前らも同じ様に悩め」と言ってる模様。えー。一々「自分は男だろうか女だろうか」と特に疑問に思わない所からやるのかー。何で全員が…。
大体ジェンダー系って10年位前までは「性は社会的構築物で云々」と言ってた癖に最近は「ホモやレズは先天的なモノでありそもそも治療や更生の対象とするのは黒人である事を治療するがごとき差別」とか言い出してますよ?どっちなんだよ。結論ありきが何だかな。

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好井 裕明

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*1:不可視化する、という言葉がよく使われてた。