「知人から、死刑囚の手記を手渡され…」って「ワトスンの未発表原稿が発見」から始まるホームズの儀典のお約束みたいな書き出しの、実録のような創作のような本。

地獄で生きたる!―死刑確定囚、煉獄の中の絶叫地獄で生きたる!―死刑確定囚、煉獄の中の絶叫
尾塚野 形

鹿砦社 2013-01-09
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一人称の主人公・二名の強盗殺人で死刑が確定している川口一成は2人の死刑囚を合成した架空の人物。一人は既に執行、もう一人は未決で生きているという。登場する囚人は、死刑になった人物は実名、まだ大阪拘置所に居るのは仮名というなんとも中途半端。

「901番、出房。服装はそのままでいいぞ」
「す、すみませんが、さ、再審、再審の請求手続きをお願いします!」
「そのことは、まあいいから、とにかく出ろや」

 俺は自分が確定囚になってから、今回を含めてこれまで8人の仲間をバタンコ台に見送ったことになる。古い順から並べると、池田市大阪教育大付属小学校の児童8人を殺した吉岡守(旧姓宅間。享年40歳)が04年9月。05年9月に高知・千葉連続強盗殺人事件の北川晋(同58歳)。06年11月に高知連続主婦殺人事件の福岡道雄(同64歳)。07年4月に赤穂市母子強盗殺人事件の名田幸作(同56歳)。07年12月に徳島3人射殺事件の池本登(同74歳)。08年4月に宝石商殺人事件の中元勝義(同64歳)と元同僚殺害事件の中村正春(同)61歳がW執行された。そして、今回執行された宮城・香川保険金殺人事件の山崎義雄だ。

ってな感じで。
内容は大阪拘置所の生活の模様。死刑囚の事は仲間として見ていて、獄卒は敵視。公務員と政治家と検事は恨んでいる。鳩山邦夫法務大臣(当時)は何人も執行したので特に評判が悪い。被害者への詫びや後悔は余り無く済んだことらしい。やっぱ悪人は改悛しませんな。
何時執行されるか判らないので係が房に来ると全員冷や汗だそうな。いざとなったら再審請求で引き伸ばそうとしても上記のごとくスルー。

死刑囚最期の言葉
・小平義男「この期におよんで何も言い残すことはありません」
・菊池正「おかやん、おかやん、助けてくれよ…」
・坂巻修吉「お先に!先生、お世話になりました」
・古屋栄雄「ふみえ〜!もう一度会いたいよぉ〜」
・大谷高雄「先に行っています。極楽では私の方が先輩ですからね」
・孫斗八「ゴラァ!だまし討ちにするのか!」
・中村覚(千葉覚)「犯罪なき世の中がうち立てられますように…アーメン」
・奥野清「お母ちゃん、いま行くで、まっとれよ」
・小林カウ「長い間お世話になりました。思い残す事も言い残す事もありません」
・杉村サダメ「あの世では被害者の皆さんに会って罪を償いたいと思います」
・小原保「真人間になって死んでいきます。ナスの漬物おいしゅうございました」
・片桐操「皆さん、ありがとうございました。お先に失礼します」
中島一夫「あの世で被害者に会ってお詫びできることを思うとやはり死ぬことは喜びです」
・堀越喜代八「どうか皆さん、ぼくの冥福を祈って成仏できるように助けて下さい」
大久保清「…クック…(慟哭)」
・佐藤虎美「殺られてたまるか!」
・渡辺健一「ウソやろ!?かなわんなぁ…」
永山則夫「うおっ〜!オレを殺すと革命が起きるぞ」
・勝田清考「目隠しを取ってもらえませんか。もう一度先生の顔を見たい」
・長谷川(竹内)敏彦「…残念です…」
・吉岡(宅間)守「タバコとジュースくれや!」
宮崎勤「あのビデオ、まだ途中なのに…」
陸田真志「(池田)昌子さんのところにいけるのはこの上もない幸せです」

とかあってへー。
これは私見だが、懲役刑でも無いのに人間を何十年も牢に閉じ込めて於くのは如何なものか。国家による人権侵害ではないか。死刑が決まったならすぐに執行すべきである。