水からの伝言 (世界初水の氷結結晶写真集)水からの伝言 (世界初水の氷結結晶写真集)
江本勝 IHM総合研究所

波動教育社 1999-06-01
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 水入れたコップに「ありがとう」と言葉を書けると凍らせた時の結晶の形が綺麗になるという例の馬鹿本。ありがとう水とか未だに笑われている。読む事は無いかと思ってたけど昨今の朝日新聞凋落の元ネタ本を読んだ人も居るので読んでみた。読まずに笑うのもアレなので。ちなみに15年経った今でも信じてる抜け作が居たり
 大型のフルカラー写真本で、色々な水を凍らせた氷の結晶の顕微鏡写真と、ポエミーな解説が付いてるページが延々続く。
 1章は、品川の水道水とか富士山の湧き水とか日本各地観光地の銘水などで、都会の水の結晶が汚いのは人の心が云々とかちょっとオカルトポエム入ってるけど、まぁ、まだ大人しい。汲んだ水により氷の形が変わるというのも色々溶けてる成分違うだろうしあるのやも知れぬ…位で小手調べという所か。
 2章は、精製水に様々な音楽を聞かせ(?)た後に凍らせて結晶の形を比べ、この辺からちょっとエンジン掛かってくる。水はヒーリングミュージック系が好みのようだが、何故か河内家菊水丸河内音頭が混じってて中々。まぁ…音楽の空気振動が水が凍る時に影響して…いや、聞かせ(?)てから一晩寝かせて(寝るの?)から凍らせてるからそれはないような気もするが…前日のかき混ざり具合に何か影響があって…在り得なくもなくもないような受け取り方もアリか…。
 3章は、いよいよ有名な「ありがとう水」。どこぞの小学生が夏休み自由研究でご飯を瓶詰にして毎日「ありがとう」と声を掛けたら発酵し、「ばかやろう」と声を掛けた方は腐敗した、という話にヒントを得て、水でもやってみたそうな。勿論「ありがとう」は綺麗で「ばかやろう」は汚い。2章の音楽実験を踏まえるとそれぞれの言葉の音量やピッチ等々に着目すべきではないかと思うんだが、筆者は発する人間の心に着目して次章へ。
 4章は、「ありがとう」「ばかやろう」等々色々な言葉を書いた紙を水を入れたビーカーに貼って結晶を比べる本書のハイライト。「水が文字を読むのかww」と良く突っ込まれる箇所ですな。確かに、なんというか、仮に人間に念力的な超能力があって心のありようが水の結晶の形に影響を与えるみたいな話を受け入れても、直接「ばかやろうっ!」と声を掛けるならビビビ…と何か裂帛の気合い的な何かが飛ぶ気もするが、ワープロ文字だからなー。お札系にしても風情が無い。
 5章は、今度は人名を書いた文字で比較。「出口王仁三郎」「天照大神」「アドルフヒトラー」「マザーテレサ」。人選が意味不明…ではないが、適当で俗っぽい。もちろんヒトラーだけ結晶が汚くてなんだかなー。もう少し毀誉褒貶のある人でやらんのかな。ナポレオンとかスターリンとか。やはり人間の未知の超能力を仮定しているのではなく、精製水側が自ら文字を読み取り自ら動くモデルなのか。つか単純に感染呪術か。
 6章が、突然新登場のアイテム「共鳴磁場分析機(MRA)」により品川区の水道水や「マイクロクラスター水」に「波動情報」なるものを「転写」した「波動水」登場。船橋幸雄氏の波動が綺麗な結晶を作るそうな。うーむ。
 一応、「ありえない度」を徐々に上げていく工夫はされているが、やはり“ビーカーに「ありがとう」”は余りにもあんまりなので、間に何か、こう、ピラミッドパワーみたいな神秘のメカニズムを一枚咬ませるともうちょっと説得力が出たのではなかろうか。「水の入ったコップに話かける」だと馬鹿馬鹿しいが、そこにピラミッドを被せれば「うむ、ピラミッドなら、在り得る」と。本書の場合は共鳴磁場分析機(MRA)をもっと活用すべきだった。