本書があつかう「社会的排除」もれっきとした外来語である

今日の社会的排除の起源となったのは、この1980年代の若者失業問題で再びクローズアップされた、「排除」という言葉であった。同様の問題を抱えたヨーロッパ諸国で、このフランス生まれの言葉が反響を呼ぶとともに、ヨーロッパの新しい経済社会統合をめざすヨーロッパ連合で、特に注目された。経済統合だけでなく、さらに社会統合を目指すEUにとって、排除との戦いはまさにぴったりのアイデアだったからである。こうして、フランス生まれの「排除と参入」は、EUの中で、「社会的排除」と「社会的包摂」という対義語に変化し、次第に加盟国の社会政策のキーコンセプトとなっていく

EUが社会的排除という言葉を使うのは、加盟国の指導者が「単に貧困という言葉を使うのを嫌ったからだ」という穿った見方があながち無視できない

社会政策担当者たちの政策推進の言葉として使われてきたので、それが何を意味するかを明確にすることをわざと避けてきたふしがある。

各章最後に必ず高所得層を腐すのには辟易するが、平易な言葉で分かり易かった。
施設保護は息苦しくて嫌、生活保護スティグマだから嫌、ワークフェアは能無しだから無理、そもそも包摂は国民統制で望ましくない、じゃ処置無しだ。

社会的排除―参加の欠如・不確かな帰属 (有斐閣Insight)社会的排除―参加の欠如・不確かな帰属 (有斐閣Insight)
岩田正美

有斐閣 2008-12-18
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