皆、何となく「地球に迫るブラックホール木星をぶつけて弾く話」と知っては居るものの(上)では、ブラックホールのブの字も出てこなかった本書だが、後半は全力。本田英二もバーに飲みに行ってる暇もなく全力で働き詰め。プロジェクトXよろしく、男達が延々と働く。大統領補佐官とか過労で倒れる。そいえば「プロジェクトX」って本書に出てくる地球脱出計画の、公になる前の名称だったり。この地球脱出計画(EX)と木星ブラックホールを弾くBBJ計画を同時に進めるにあたりどうリソースを配分しようか、みたいな会議で揉めるのが真に迫っててさすが小松左京
木星に残った異星人の宇宙船ではないか?と思われ上巻の山場だったジュピターゴーストの探査が後半は忘れられたというかもうそれどころじゃないというか、たしかにあと3年でブラックホールが太陽に衝突するというのにUFOどころじゃないわ。んで結局はっきりしないままではあるのだが、それがまた「木星爆破なんてもったいない」感を増して宜しいという。
映画だと、木星が潰れて木端微塵に大爆発、なので爆発ガスをブラックホールに吹き付ける感じで弾くように見えるが、小説だと爆発ガスの方向を制御しロケットのごとく一方に吹き出してその反動で本当に木星をえんやらや、と動かして本体をぶつけるイメージだったのね。

さよならジュピター〈下〉 (ハルキ文庫)さよならジュピター〈下〉 (ハルキ文庫)
小松 左京

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