何度読んでも色褪せぬ日本SFの金字塔。さよならジュピターと孤冬黙示録と太陽風交点はオールタイムベスト。宇宙基地も木星探査もまるで見てきたかのようだし、登場人物は皆テキパキしていて格好良い。判断には裏付けが動機があって説得力に富む。
とは言いつつも、ナスカの地上絵の意味*1が当時はまだミステリーで火星にも同じのがある宇宙からのメッセージだったり、宇宙は最後のフロンティアで宇宙開発は当然のごとく多国籍無国籍で推進する古き良きスタートレック的世界だったり、ボタン押すと床から椅子がせり上がって来たり、「数ギガバイトもの」メモリを搭載したアタッシュケース大の小型コンピュータが出てきたりな。後、例によって携帯電話が無い。
昔読んだ時はそれ程思わなかったけど、主人公の本田英二氏は結構破天荒な性格の暴れん坊だな。基地で暴れた女を捉えるとあれこれしたり、トップのウェッブ総裁との会議の前にその辺に飲みに行って殴られて誘拐されたり、そもそも乗り気でなかった筈の木星降下の時もジュピターゴースト見つけると危険を顧みず追ったり。
あと、全裸で無重力空中浮揚しつつ人類の宇宙進出の意義を語り合うのは何かガンダム。映画ではお笑いだったが。
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*1:現在ではどうも古代人が遠くから見る道路標識的なモノだったらしい、という話。
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