2015年の「文系学部廃止」報道騒ぎは文科省通知を新聞記者がいい加減な理解で報道したため。内容は1年以上前に公表されており、教員養成系の縮小・再編は2004年以前から文科省は言い続けているそうな。
 で。
1章 グローバルな競争の激化、少子高齢化新興国の台頭により大学のミッションの再定義が必要とされており、理系学部はよく対応しているが人文社会系は教育学系以外は方向性を示す事ができていない。

2章 手段有用性の学問である理系知と異なり、文系の学問は価値創造的な知であり、目的や価値軸の変化に対応する際に立つ。
…んーむ?1章での認識と2章での考察が繋がらないように見えるんだが一体どうなっているのか…。価値創造的な文系→大学ミッションの再定義によく対応できている、なら繋がるんだが1章での話は全く逆。理系は対応できたが文系は対応できていない。朝日新聞記者と言えば本邦の文系卒学生憧れの職業No.1の切れ者、東大文学部教授と言えばその分野を極めつくした日本の文系知の最高峰、それがこの体たらくではその有用性推して知るべし
また「儲かる理系vs儲からない文系」等、理系学問の話をする際に工学部ばかり念頭に置いており理系の「理」の字の理学部をガン無視も気になる所。

価値の遠さ、普遍性こそ大学の生命線なのです()理系の場合は比較的短期で一定の成果が見えやすく()これに大して文系の知は()三十年、五十年、百年を視野に入れながら()

純粋数学とか宇宙論とか価値遠そうだよなー。素数の数の見積もり法とか陽子の寿命とかに比べたら、カルスタの風俗レポートや文学理論の読書感想文ノウハウなど大分卑近な感じがするんだが…。
んで、本邦政府国民も別に実用的学問ばかり重視な訳でない事は800億円でハイパーカミオカンデ作ろうかとか1兆円で国際リニアコライダー作ろうかとか真顔で議論していることから明らか。宇宙創成の経緯が分かったからと言って全然儲からないのに…。金を引っ張ってこれないカルスタとの差はやはりその学問の存在意義の差では…。
 あと、甲殻類は67,000種にして節足動物120,000種。脊椎動物は4,4000種つか脊索動物72,000。著者は外骨格生物さん舐め杉。内骨格の利点は種の多様化ではなく身体の巨大化なのは現代人として備えておきたい教養だ。

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吉見俊哉

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