日本人の一人あたり労働生産性はドイツの90%だ、日本人は駄目な連中だ、日本社会には問題があるという話は皆さん大好きなのに、沖縄県民の一人当たり生産は東京都民の54%だ、沖縄県民は駄目な連中だ、沖縄県社会には問題がある、と語られているのは余り見た事が無いが、割とそういう事をやんわり言っている珍しい本。
沖縄の、文字通りの意味での日本からの独立を視野に入れて、マル経の経済学者が経済的自立を検討している。
まず現状の統計、次にこれまで国や県が行ってきた経済振興策を批判的に検討、ついでにミクロ経済学批判(まぁマル経だし)と護憲(何故?)、んで結局、経済的自立は非常に厳しくまして独立など非現実的だが自立に向けて努力する姿勢が大事という話に。まぁ中学生でも地図を見れば陸路が無く一級河川も無い沖縄での工業発展は不可能であることは一目瞭然だからな…。
何せマル経なのでミクロ経済と日本政府と大企業が大嫌い、戦後の環太平洋ベルトでの重化学工業化大成功と奇跡の復興、高度経済成長も「農業と地方の切り捨て」という具合。
憲法の原理・精神が資本と日本国家により蔑ろにされ(略)憲法の精神を実質化できれば、それが資本の無制約な利潤追求と非正規雇用にみられる異常な搾取・収奪を制約することになり、住民主体の地域づくりを可能にすることにつながり、アメリカのいいなりに基地を提供する日米安保体制を変えることにもつながる
憲法すげーな…。この他、憲法13条の幸福追求権、あの、裁判ではまだプライバシー権しか認められた事が無い謎の幸福追求権を根拠に沖縄県民は稼がなくても本土並みの生活水準を教授する権利があると述べたり。
1955年度では一人当たり所得の26%が外的収入(すなわち基地収入と財政収入)に依存しており、復帰後の1980年度では(略)約4割に増大する。沖縄だけの生産力で維持できるのは、生活水準を変えないとすれば人口70万人(現人口の6割)、現人口を維持するとすれば、生活水準を現在の6割に落とす(つまり、日本との比較では4割)しかないということになる。(略)財政に依存した豊かさを県民は享受しているのである」
こうした指摘は、2016年現在についても当てはまる。
「植民地」どころか、我々東京都民を始めとする日本人の勤勉な労働成果をちゅーちゅー吸い上げて搾取し、6割の労働で済ませてる収奪者の住む南国の楽園じゃないですか。
なお、万一独立が成った暁には日本からは外国となるので26%を占める観光もドン、と減る事が予想され、生活水準は現在の6割では済まない予感。
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