「重版出来!」をもじったようなタイトルだが登場人物はほぼ全員が初老の男だ。つか「中小出版社に若い正社員は居ない」がこの小説のポイントの一つだし。内容は出版業界は先行き絶望的、そもそも文芸誌って誰も読んでなくね?という話。文学賞選考シーンが大いなる助走 (文春文庫 (181‐3))っぽかった。
それにしても"「受胎小説」でデビューした女流文芸評論家"…一体何美奈子なんだ…。西村京太郎や石原慎太郎は普通に本名で語っているのに…。登場人物としての言動があると伏せる感じ?出版社の名前もそれっぽくもじってて「アマゾン」も「スワンプ」になってたりするが何故かYaHoo!だけはYAHOO!。そして登場人物としての名前すら無い「役員」とは一体…。普通に「江来執行役員」とか名前付ければいいのに。社長には井上社長とか田中社長とか名前が付いているのに意図が分からない。
先々揉めて主人公の身に災いが振りかかりそうな、いい感じの伏線は次々出てくるんだが、後半大した事無く処理されててイマイチ。登場人物多過ぎて材料も盛り込み過ぎたっぽい印象。100万部小説仕込みプロジェクトの話か新英社買収の話かどっちかで良かったのに…。つか普通にノンフィクションで。
文芸誌は何のために半永久的に持続して制作され続けているか。別にそんな雑誌がなくなっても、誰も困らない。困るのは作家だけであるのなら、そういう売れない雑誌を書店に押し付けるかのように送品してくるのは、ムダの一言に尽きると森口は言いたいのだろう。
文芸誌ってそんなに売れていないのか…。いや私も買ってないが。たしか、作家ワナビの人が主要読者と聞いた事があるような無いような。それにしてもこれまで作ってる人がその売れ行きを全く気にしていなかったとは驚愕である。
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