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 今を去る事30年以上前、「ペヨトル工房」という芸術関連の雑誌を出す出版社があって、サブカル連中に大層人気だったという。
 だが、バブル崩壊とともにセゾン文化が沈没、サブカル市場も萎み、このペヨトル工房も1998年に活動休止、2000年に倒産。その顛末を語った本。
 「ボクが出版をやめたわけ」とサブタイトルにあるが、倒産に特に劇的な理由は無く単純にサブカルが廃って雑誌が段々売れなくなり経営に行き詰った模様。まぁサブカルなんてのはバブルの仇花なので致し方ない感じ。あんなスカしたいけ好かないスノッブ共が何時までものさばっていてはいかん。
 ただ、倒産近くなって状況をWEB日記に書いたら熱烈ファンがなんとかしようと活動して在庫は付き合いのあったいろんな書店が引き取ってくれたという良い話が。「出版社のファン」というのも凄いな。まぁでも妊娠とかマッカーの同類か。
 後日キチガイに刺し殺された事で有名な村崎百郎が文章を寄せていて、ペヨトル工房にボランティア参加→バイト→正社員と出世。入る前に「北区の製粉工場で働いていた」そうな。「元工員」は設定じゃなくて本当だったのか。つか「ボランティア」ってつまり…無給?ブラック企業にも程があるというか企業の体を成してないな。
 それにしても出版社って思った以上に零細企業なのね。あの書店はこの雑誌を10冊置いてくれた、この書店は5冊だ怪しからん、返品が紐で縛られて1冊カバーがダメになった、とか1冊単位でかなりカリカリしてる。ちなみに、よく雑誌を置いてくれてキャンペーンも打ってくれたと本書中で何度も褒めてた「三月書房」って、同じ名前の本屋が三つ位あるw。
三月書房と同名の他社、さんがつしょぼう、やよいしょぼう

ペヨトル興亡史―ボクが出版をやめたわけ