ウイルスに関する科学読み物。
ウイルスの研究や最新の知見を紹介する内容で、タイトルの「意味論」か?はちょっと疑問だが、多分、ウイルスは生物とも無生物ともつかないので、タバコモザイクウイルス分子の結晶やポリオウイルスの合成以降、生物とは何を意味するのか良く判らなくなってきた辺りからのタイトルと思われる。
そいえば「人工生命」って2016年に既に出来てたのね。クレイヴ・ヴェンター博士が分子を合成してオリジナルのマイコプラズマを作ったら普通にウイルスとして動き出したそうな。中々マッドサイエンティストやな。マッドサイエンティストと言えば、本書中に登場するディヴィッド・エヴァンス博士ってマッドな人が、人類がやっと根絶した天然痘ウィルスのRNAを全て持っている馬痘ウィルスを合成して大問題になったそうな。今や、天然痘に耐性持ってる人類あまり居ないから流行ったらヤバ過ぎるという、由緒正しいマッドサイエンティストよ…。
理科で習ったDNA→RNA→タンパク質の順で伝達されて逆流は無い話も、実は違っていて、たまにウィルスのRNAが人間のDNAに入る偶然があるそうな。お陰でヒトゲノムの9%が内在性ウィルス、34%がその祖先のレトロトランスポゾンだそうな。マジか。半分くらいウィルスやんけ。HIVウィルスもこの類で感染するとDNAに入ったりするそうで。HIV感染者恐るべし。
HIVと言えばカクテル療法でHIVウィルスに感染してもAIDSを発症せず死なずに済むようになったは良いが、感染者は1996年の2300万から2015年は3880万人に増えまくってるとか。おいおい、感染力激弱の病気をそんなに蔓延させるとは何事か。ホモの性欲恐るべし。尚、南アフリカでは成人の20%がHIVに感染済だそうな。ぎょえー。
クーラーの冷却水から見つかった、アメーバより大きい巨大ウイルスとか、海中ウイルスとか、居ないと思われていたものが一つ見つかると、以後続々と見つかるのはアレだな、見つけようと想定して探さないと見つからないって事だよね。

ウイルスの意味論――生命の定義を超えた存在
山内 一也
みすず書房
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