美達大和こと、高級外車販売会社員らを横浜市中区内のホテルに呼び出し現金など三百万円相当を奪った二人組強盗事件の主犯にして、札幌市中央区南一三西二一、クラブホステス秋田真弓さん(当時26歳)を殺害し、その5年前にも1986年にも別の女性を殺害した極悪犯罪者、札幌市中央区南、不動産・金融業阿部憲司容疑者(当時31)の書いた本。
刑期10年以上の長期受刑者の入るLB級刑務所の受刑者の話や自分の話。
悪人は決して更生しないというか倫理観が一切無い事が切々と記載されていて、まぁ20年も大勢を24時間体制で観察した奴の言う事だからそうなのだろう。前科者は人の皮を被った怪物、常に警戒を怠ってはならぬ。とは言え我々真人間が前科者をそれと見分けるのは困難なのでマイナンバーと紐づいた形での犯歴公開はよ。
新法施行後、規制が緩和されたこと、その数年前から受刑者の人権がインフレ化したことが重なり、獄の中は過酷な所でも、陰鬱で暗い所でもなくなりました。
刑務所という施設が、教育や管理をする場ではなくなり、単に社会から隔離するためだけの場所になっています。
「今の寄せ場ならいくらでも入っていられるなあ」
今や悪党ランド化しているのです。
「悪人を善人に変えることは、神でさえ、とっくに投げ出した仕事」という言葉がありますが、
やっぱ刑務所たるもの、受刑者が「もう二度とこんな所には入りたくない」と思うような辛く苦しい生活を送る場所でなければだめだよな…。食事は三日に一度程度とか。
ただこやつも自分の殺人についてはまるで金融業のトラブルであるかのようにほのめかしているが、殺したのはどっちも女性で怪しいなぁ。つか文章からはアスペ狂人っぽさが。

刑務所で死ぬということ
美達 大和
中央公論新社
2012-05-24