かの有名な、私有財産全否定農耕放牧ユートピアカルト、ヤマギシ会の村で生まれた人が子供時代を振り返るエッセイ漫画。
カルト村で生まれました。」の続編で中学高校時代編。
何でもヤマギシ会の村は全国各地に点在していて、幼児〜小学生までは子供は子供だけ集めて親とは「別の村」で暮らし、小学校卒業すると今度は各自バラバラに全国各地の「村」に配属されるそうな。中学生からして既に単身赴任とはすげーなと思うけど、それはそれで楽しく、親とは滅多に会えない分、寧ろ有難味があって喧嘩せず皆、親とは仲良いそうで、筆者も子供ができたら中高は寮に入れてあげたいとか。お金が滅多に見られないので通貨としてではなく「お金」自体に憧れていたとか、音楽機器禁止なので、日本の流行歌は女子の間では口伝で伝わるのだとか。
んで、ヤマギシ会では義務教育を終えると日本の高校には行けず、村の「高等部」に通うか「村人」になる。
結婚は「調整結婚」と言って婿は30〜40代、嫁は20代で村が決める。
日曜休日とか土曜半ドンとか生ぬるい習慣は無く、年に1度の祭りの日以外は1年365日労働。月月火水木金金
村の生まれなら「そういうもの」なのだろうけど、弛んだ現代日本人が移住するのは中々大変そうだが、生活費の心配はないのでこれはこれで楽だそうな。あと分業が徹底しており、炊事や洗濯、掃除も係の者がまとめて行うので村人は各自自分の仕事だけしていれば上手く回るらしい。
その後、1995年にオウム真理教によるサリン事件の際、同じカルトという事でヤマギシ会にも世間の注目が集まり、1998年に村の税金申告漏れ200億が発覚、この頃に改革が行われる。その一環で村の高等部を学校法人として認可申請したところ、文科省に365日の児童労働と朝食抜きの規則が問題視され、その後は10日に1度は交代で休日になったそうで、女子の大半はお菓子作りに精を出してたとか。
ヤマギシ会はどうも押し付けを良しとせず自発的を重視というか、「自分の頭で考えて私と同じ意見を持ちなさい」という近年でもPC界隈で流行りの無茶で傲慢な態度らしくて、そういうのは小学校高学年になると見え透いてしまい、筆者は他人の思惑に乗るのが嫌な性格だったのでよく「個別ミーティング」なる詰問に遭ってたそうな。
18歳になると村に残るか村を出るか選べるので外に出て、中卒なので求職に苦労するも、出会い系サイトで今の夫と出会って結婚。お終い。
我々現代日本人を支えるためになるならば、こういう365日働く農民の暮らす地域があっても良いと思うんだが、ヤマギシ会の農産物は高いらしいからな…むしろ我々現代日本人がヤマギシ会を支えている側になってしまっている。